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引き戸の下部レール交換を検討する前に知っておきたいこと

日常的に使っている引き戸が、なんとなく重い。
動かすたびにゴリゴリと音がしたり、途中で引っかかるような感触があったり。
使いにくさが続くと、「そろそろ修理かもしれない」と考える人もいるかもしれません。
こうした違和感の原因としてよくあるのが、「レール下の劣化」です。
とくに、引き戸の下部にあるレールは、戸車の負荷を直接受けているため、
家の中でも劣化しやすいパーツのひとつです。
年月とともに削れていったり、歪んでしまったり、ホコリが蓄積したり。
見た目ではわかりにくくても、レール下の摩耗は引き戸の開閉に大きく影響してきます。
では、どのタイミングで交換を検討すべきなのか。
そもそも、自分でできるのか、それとも業者に頼むべきなのか。
ここでは、引き戸の「レール下交換」に関する基本的な知識を整理していきます。
引き戸のレール下が劣化する主な原因

引き戸の下にあるレールは、日々の開閉動作を支える重要な部分です。
しかし、構造上どうしても負担がかかりやすく、知らないうちに劣化が進んでいることがあります。
もっとも多いのが、摩耗による凹みやすり減りです。
引き戸の下部には「戸車」と呼ばれるローラーがついていて、
この戸車がレールの上を毎日往復します。
その繰り返しの摩擦によって、
金属や樹脂製のレール部分が徐々に削れていくのです。
また、床面と密着しているため、ホコリや髪の毛、小さなゴミが溜まりやすい構造でもあります。
掃除が行き届かないまま放置してしまうと、異物が戸車を傷つけたり、
レールにかみこんで動きが悪くなる原因になります。
湿気によるサビも、レールの寿命を縮める要因です。
洗面所や脱衣所、玄関など水気の多い場所にある引き戸では、
金属部にサビが発生しやすくなります。
サビたレールは滑らかさを失い、音や引っかかりの原因になります。
つまり、目に見える破損がなくても、
実際にはレール下の性能が落ちているケースは少なくありません。
交換が必要なサインとは?

では、レール下を交換するべきタイミングとは、どのような状態を指すのでしょうか。
まずは、動かしたときに引き戸がガタガタと揺れたり、カクンと段差を乗り越えるような違和感がある場合です。
これは、レール部分が部分的に削れて、
段差ができてしまっていることが考えられます。
次に、引き戸がレールから外れやすくなっている場合。
これは、レールの幅や形が変形していて、
戸車がうまく収まらなくなっているサインです。
また、開け閉めするたびに異音が出るケースも見逃せません。
「ギギギ…」というような金属音や、戸車がどこかに引っかかるような音がある場合、
摩耗やゆがみがかなり進んでいる可能性があります。
レール下をよく見ると、表面が削れて線状の溝ができていたり、サビが浮いていたりすることもあります。
このような状態が確認できたら、早めの交換を検討したほうが安心です。
自分で交換できる場合とそうでない場合

「レールの交換って、自分でできるのだろうか?」
そう思う人も多いかもしれません。
実際のところ、条件が整っていれば、
DIYでの交換が可能な場合もあります。
たとえば、床にネジ留めされているタイプのレールで、部品が市販されている場合。
このようなレールは、古いものを取り外し、
新しいものを同じ位置に取り付け直すだけで済みます。
ホームセンターやネットショップなどで
「引き戸レール下部」「フラットレール」などと
検索すれば、対応部品が見つかることもあります。
ただし、以下のような場合は、DIYでの対応が難しくなります。
・レールが床材と一体化している(埋め込み式)
・取り付け部が傷んでいて下地の補修が必要
・建具や戸車との相性調整が必要なケース
このような場合、無理に自分で直そうとすると、かえってレール以外の部品を破損したり、扉が閉まらなくなるといったトラブルにもなりかねません。
作業の難易度が不明なときは、まずは状況を写真に撮って、専門業者や建具店に相談するのが安心です。
専門業者に依頼する場合の費用感と流れ

レール下の交換を業者に依頼する場合、気になるのが費用と作業時間です。
内容によって金額に幅はありますが、一般的には以下のようなイメージになります。
・部品交換のみ(既製品対応)…8,000円〜15,000円程度
・レールの切削加工や調整が必要…20,000円〜30,000円程度
・床材の補修や下地の作り直しを含む大掛かりな工事…40,000円以上
現地の状況によっては、レールだけでなく戸車の交換も併せて行うことがあります。
実際には、レールの劣化と戸車の摩耗はセットで起きていることが多いため、
同時に調整しておくと安心です。
工事自体は、簡単なケースであれば1〜2時間程度。
埋め込み型や床の補修が必要な場合でも、
半日〜1日程度で終わるのが一般的です。
修理で対応できる場合もある
すべてのケースでレール下を交換しなければならない、というわけではありません。
状態によっては、修理やメンテナンスで十分な場合もあります。

たとえば、ホコリやゴミの蓄積による滑りの悪化であれば、掃除や注油だけで解消できることもあります。
市販の潤滑スプレー(※シリコン系推奨)をレール部分に吹きかけ、柔らかい布でふき取るだけでも、動きが改善される場合があります。
また、レールが軽くゆがんでいるだけなら、金属用のペンチや当て木を使って形を整える方法もありますが、これは慎重な作業が求められます。
明らかに部品が摩耗していない場合は、いきなり交換に踏み切らず、まずは修理の可能性を検討してもよいかもしれません。
交換すべきかどうかは、「状態」を見るのが第一歩
引き戸のレール下は、見えにくい場所でありながら、日々の使い勝手に大きな影響を与える部品です。
動かしにくい、引っかかる、音が出るなど…
そうした違和感の裏には、レール下の劣化や変形が隠れているかもしれません。
すべてのケースで交換が必要というわけではありませんが、レールの状態を正しく見極めることは、快適な生活のための第一歩です。
DIYで対応できるケースもあれば、プロの手を借りる方が安心な場面もあります。
無理に我慢を続けてストレスを溜めるより、早めに状態を確認しておくと、結果的に費用も最小限で済む可能性があります。
「なんか開けにくいな」と感じたときは、引き戸のレール下にちょっと目を向けてみるといいかもしれません。
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